ご紹介中の本は、イラストレーターという職業で生計を立てる筆者が、非常に勉強になった本。イラストレーションやアニメーションの勉強では基本ともいえるバイブルです。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」
このホームページでは強く印象に残った部分を簡単にご紹介させていただいております。あらすじ未満??実際に書籍を購入されると、きっと一生モノの教科書として活躍してくれると思います。
カテゴリ「アニメーションの技法2」/24
アニメーション基本原則7-1・「アーク(運動曲線)について」
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アニメーションの基本原則(アニメーターたちの基本原則9つ)となった手法についてをお伝えしています。
今回はアニメーション基本原則7、「アーク」。
7番目のアニメーション原則
ウォルトディズニーのアニメーターたちの基本原則9つ、アーク(運動曲線)について
アーク(運動曲線)ついて生き物の中には、機械のようにまっすぐ前後へ上下へと体を動かせるものはほとんどいません。直線運動ではなく曲線運動になります。
キツツキや硬い外殻をもつ昆虫は例外かもしれませんが、動物(生きもの)の動きは、普通、かすかな曲線を描いて動きます。例えば頭部が前後に動くときなど。
曲線、そうなるのは重量や高等動物の体内構造のせいだと言われていますが、とにかく、ほとんどの動きはある種の曲線を描いています。
例を上げると、上のイラストはものを指差す手が運動曲線に沿って動いています。アニメーターは運動曲線に沿って作画の位置を決めます。原画を描いたあと、中割り(動画のイラスト)が運動曲線に沿って描かれるように位置を指示しておきます。
運動曲線を無視して中割り(動画のイラスト)を描くと、イメージは全く変わってしまいます。アーク、この手法の発見は、キャラクターの動きのデザインを大きく変えました。以前は通用していた”硬くてこわばった動き”が全くといって良いほど使われなくなったのです。
これより以前は、キャラクターが歩くときは、エンジン積んだ機械のようにギクシャクと上下運動をしていました。殴る動作や投げる動作は完全な直線軌道でも描けましたが、これもアクションは、さっと弧を描くことで始まり、以前紹介した手法、フォロー・スルーのねじれるような動きで終わっていました。
このアークの原則について理解が深まると、各カットを設計するとき、おおざっぱなポーズとともに図や点線を書き入れて、キャラクターがアクションの中でどこまで高く、どこまで低く動くかを示すようになりました。
カギとなるアクションを設計するときは、イラストを仕上げるときのガイドラインとして、運動曲線を簡単に書き込んでおきます。そうして置くと、イラストを仕上げる際、キャラクターのアクションをさらに進める方法がいろいろ見えてきます。
アニメーションの原則では以前紹介した手法である「潰し」と「伸ばし」や「オーバーラッピング・アクション」の効果的に使おうとする場合、このやり方は特に役立ちます。中割りをするとき、運動曲線上に描くのは2枚のイラストの真ん中に描くよりずっと難しいので、中割り係(動画を書くアニメーター)は苦労します。
描く位置が指示されていて、原画のそばに「運動曲線に注意!」と書いてあっても、ともすれば直線的な位置に引き寄せられてしまうのです。
一連の中割りをタップで留めたまま「パラパラ動かして」(パラパラ漫画みたいに)みたとき、ようやく正しい動きが分かってきてそこでほとんど修正していました。
中割りをするのが熟練者であっても、運動曲線に忠実に描くのが基本だと分かっていても、すべてのイラストを間違いなく運動曲線に沿って描けるようにする方法は、まだ見つかっていませんでした。中割りを直線上に並べて描くとアクションが台無しになってしまうのです。
ディズニーアニメーションの歴史はディズニーイラストの歴史でもあります。
これだけの長い間、愛され続けるディズニーキャラクターは、
イラストレーションを考える上での基本となるポイントが満載です。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」というバイブル、
実売で1万円前後と若干高価ですが、興味をもたれましたら、
ぜひ手にとってご覧下さい。