ご紹介中の本は、イラストレーターという職業で生計を立てる筆者が、非常に勉強になった本。イラストレーションやアニメーションの勉強では基本ともいえるバイブルです。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」
このホームページでは強く印象に残った部分を簡単にご紹介させていただいております。あらすじ未満??実際に書籍を購入されると、きっと一生モノの教科書として活躍してくれると思います。
カテゴリ「アニメーションの技法2」/21
アニメーション基本原則5-4・「フォロー・スルーとオーバー・ラッピング4」
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アニメーションの基本原則(アニメーターたちの基本原則9つ)となった手法についてをお伝えしています。
今回はアニメーション基本原則5、「フォロースルーとオーバーラッピング・アクション」その4。
フォロー・スルーとオーバーラッピング その4
フォロー・スルーとオーバーラッピング・アクション(後追いの工夫)についてその4、続きです。
アニメで使われるフォロースルーとはアドビflashでいうところのイージングみたいなもので、変形のタイミングを変化させてリアルに見せる技術。
あるカットに登場したキャラクターが次のアクションに移ろうとするとき、「いきなり完全に動きを止めてしまうこと」それはぎこちなく不自然に見えたが、それをどうしたらいいのか誰にもわからなかったそう。ウォルトディズニーはこの問題をウォルトディズニー自身とアニメーション制作スタジオのアニメーター達が思考を重ね問題を解決する方法が開発しました。
それは、「フォロー・スルー」、「オーバーラッピング・アクション」などと最初から呼ばれましたが、両者の区別は厳密ではなかったそう。方法の中身ははだいたいの5つのカテゴリーに分類できました。
カテゴリー4
4・人物に関連する動きの特徴は、アクションそのものより、アクションの終わり方に良く表れます。ゴルファーが猛スイングした場合、その動きは数コマですみますが、スイング直後のゴルファーの姿を示す部分は優に3秒以上は続けられます。
フォロースルーが優雅でなめらかなものになるか、絞った雑巾のような姿になってしまうか、アクションの終わりの部分だけでスイングを見たとき以上に多くのことがわかります。
他の動物達に長い鼻をからかわれた小象のエルマーは、自分の影を眺め、鼻の部分を蹴って取り除こうとします。この切ないカットは、強力なポーズ、明確な演出、予備動作、フォロースルー、潰しと伸ばし、誇張、アピールをたっぷり含んでいます。 アニメーションの原則をふんだんに使っているということですね。
予備動作が観客に(あるいはキャラクター自身に?)アクションを予測させ、アクションがビューンと進行し、それからギャグの「オチ」の部分、すなわちフォロースルー[訳注:原意は「振り切ること」]が示されます。
そのオチが、事件の内容を、あるいは事件の結末を教えてくれるのです。
こういうギャグの「オチ」の部分、フォロー・スルー[訳注:原意は「振り切ること」]が示されるそのオチが、事件の内容を、あるいは事件の終わり方は、作画にかかる前にアクションの一部として考えておくのが当然ですが、意外なことに、初期のアニメーションで終わり方の工夫は殆ど発達していませんでした。
手を伸ばす、投げる、蹴るといった動作を描けばそれで良しとされ、終わり方がキャラクターの性格を明らかにする、といったことは考慮されていませんでした。
ディズニーアニメーションの歴史はディズニーイラストの歴史でもあります。
これだけの長い間、愛され続けるディズニーキャラクターは、
イラストレーションを考える上での基本となるポイントが満載です。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」というバイブル、
実売で1万円前後と若干高価ですが、興味をもたれましたら、
ぜひ手にとってご覧下さい。