ご紹介中の本は、イラストレーターという職業で生計を立てる筆者が、非常に勉強になった本。イラストレーションやアニメーションの勉強では基本ともいえるバイブルです。

徳間書店「生命を吹き込む魔法」

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カテゴリ「アニメーションの技法1」/09

アニメーション基本原則2-1・「アンチシペーション」

アニメーションの基本原則(アニメーターたちの基本原則9つ)となった手法についてをお伝えしています。
今回はアニメーションの原則2・「アンチシペーション(予備動作)について」その1になります。

声に出さなくてもオーディエンスが未来予想できる、これが重要

アニメーションを見て画面上のキャラクターが何をしようとしているのか、言葉でキャラクターが声に出して言わなくても、見てくださっている観客に伝わらなくてはなりません。動作で伝えたいことを伝える、これはアニメーションにおいて重要なポイントです。
これができてないとどうなるのか?特別な予備知識のない観客からすれば、そのアニメのキャラクターが全く理解できず、アニメの映像の中にとけ込めなくなります。その結果、面白さが分からない。テレパシーが使える時代を迎えるまでは、何がしたいのかが理解できなければ、アニメーションの意味は全く意味がありません。

動作で伝える。そこで登場するのが、今回お話しするアニメーションの原則2・アンチシペーション(予備動作)です。

アンチシペーションとは

アニメーションを作るときは、観客を1つの動作(カット)から、次の動作(カット)まで間違いなく導くように、アクションの連続性を 計算する必要があります。
さもないと観ている観客は、スクリーンでおきていることが理解できなくなってしまうからです。

観客が次の動きに対して心の準備をし、実際に見る前にそれを予測するように仕向けるのです。
そのためには、主要な動作の前に、次におきることを観客に予測させる明確な動作を加える。これを”アンチシペーション”(日本語いうところの予備動作)といいます。

このアンチシペーションには、顔の表情のように小さい表現のものもあれば、肉体を派手に使ったアクションのように大きな表現のものもあります。例えば、人が走り出す場面では、しゃがみこんでバネのように体を縮めるか、逆に、いったん体を引いて肩と片脚を上げ、次の動作をする場所に向かって狙いを定めるような格好をとります。こうすることで「キャラクターは走り出すんだ」と、観客の皆様は予め想像が付くわけです。

ディズニーの世界で例を上げると、ある物をつかもうとするミッキーは、狙う物を見つめながら両腕を振り上げ、その物体に何かしようとしていることを観客にはっきり教えるのです。


アンチシペーションは、演劇でのもっとも古い工夫です。
インターネット制作者、flash動画やユーチューブ、ニコニコ動画の作品を作られる場合にも、アンチシベーションを充分意識して取り込むことで、プロフェッショナルな雰囲気漂う動画に仕上がること間違いありません。

アンチシペーションがないと、観客は不安にながちです。ちょうど、突拍子もないことをし出す大人や公道の不安定な子供を見ているようなモノです。劇場で、「あいつは、何をしているんだ?」と、ひそひそ言い出してしまう観客もいるかもしれません。
明確なアンチシペーションがあっても、そのキャラクターが<なぜ>そうしているかはわからないかもしれませんが、<何を>しているか、次に何をするかは想像出来ます。観客は、その想像がついたところで、やっと演技そのものを楽しめるようになるのです。


次回は「びっくりギャグ」についてお話します。
予想がつかないアンチシペーション(予備動作)とは逆のことになります。

ディズニーアニメーションの歴史はディズニーイラストの歴史でもあります。
これだけの長い間、愛され続けるディズニーキャラクターは、
イラストレーションを考える上での基本となるポイントが満載です。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」というバイブル、
実売で1万円前後と若干高価ですが、興味をもたれましたら、
ぜひ手にとってご覧下さい。