ご紹介中の本は、イラストレーターという職業で生計を立てる筆者が、非常に勉強になった本。イラストレーションやアニメーションの勉強では基本ともいえるバイブルです。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」
このホームページでは強く印象に残った部分を簡単にご紹介させていただいております。あらすじ未満??実際に書籍を購入されると、きっと一生モノの教科書として活躍してくれると思います。
カテゴリ「アニメーションの技法1」/06
アニメーション基本原則1-2・キャラクター作りの工夫とモチーフ(被写体)
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アニメーションの基本原則(アニメーターたちの基本原則9つ)となった手法についてをお伝えしています。
アニメーションの原則「1」、スクオッシュ(潰し)とストレッチ(伸ばし)の概要については、前回お話しさせて頂きました。今回はその続き。スクオッシュとストレッチその2です。
イラストからイラストへの動きこそアニメーション
- スクオッシュ(潰し)は、強い圧力がかかって平たくなった姿、その姿もぎゅっと押し合い、丸まった姿も描写できること。
- ストレッチ(伸ばし)とは、常に同じ形の極度に引き伸ばされた状態を示すこと。
イラストからイラストへの動き、つながり、これこそアニメーションのもっとも重要な部分。ディズニーアニメーションではこのようにいわれます。
「あるイラスト(絵)から次のイラスト(絵)に至る動きこそがアニメーションの核心となったのです」
微笑みはもはや、顔を横切って単純に伸びる線では無いのです。
唇の形や、唇と頬との関係を決めるもの、それが微笑みだったのです。
以前は曲げたパイプやゴムホースのようだったキャラクターの脚も、今では曲げれば膨らみ、伸ばせば細長い形になります。可能な表現力が増えたことで皆、自身の想いを具現化しようとします。またライバルより良いものを作りたいという人間がもつ欲求、アニメーター達はすぐに競争を始めました。
イラスト(絵)のスクオッシュ(潰し)とストレッチ(伸ばし)を増やし、その原則をしっかりした作画設計の限界ギリギリまで広げることにアニメーター達が、お互いにしのぎを削るようになりました。
全体の形をきちんと考えればそれで充分あり、内側に細かい線をあれこれ付け足す必要がないとわかった。こうした知識は、ミッキーの体や頬、プルートの脚や鼻面、ドナルドの頭などに活かされていきます。アニメーション、キャラクターイラスト(絵)を制作する上で、困ってくるのが、被写体です。
1930年代のアニメーションでは現実に実現するもの また現実的なものは、必要ありませんでした。そのため動物、が二足歩行したり、洋服を着て、人間の言葉をしゃべったり、と観客を人目で釘付けにする、あきないアニメーション制作が行われました。
しかし、アニメーションの技術が進歩してアニメーションに出てくるキャラクターの、リアル(イラスト・絵、キャラクターが現実に存在するような)さも求められてきました。人間という被写体はゴロゴロいますが架空のオリジナルキャラクターについては被写体になるものは無かったのです。
そこで一番、主流というかオーソドクスな被写体は・・・ ?
小麦袋の被写体でした!当時、主流だったスクオッシュとストレッチの被写体の参考に良く使われました。小麦袋を上から落として潰れ方や、小麦袋の中身の量を多くしたり少なくしたり、よじったり、両端を引っ張ってみたり、アニメーター達はありとあらゆることをして、キャラクターの動き、アニメーションの制作に役立てました。
現在のアニメーションでも被写体というものは様々で、書き手(アニメーションキャラクター、ロボット、建築物などのデザイナーさん達)は市販で売っている・・・ものを使用することが多くなっています。例えば人間のイラストなら、木の被写体専用の人形などを使って、人間を書いたりしています。
とにかく被写体の土台になるものは、どこでも周りにいっぱいあるのであまり事欠かないようですが、現在のアニメーションではキャラクターが”とんでもなく複雑な動き”をするものが多く、アニメーターさん達の苦労はすごいそう。勤務時間も長く、好きでなければ続けられない仕事と言われています。
ディズニーアニメーションの歴史はディズニーイラストの歴史でもあります。
これだけの長い間、愛され続けるディズニーキャラクターは、
イラストレーションを考える上での基本となるポイントが満載です。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」というバイブル、
実売で1万円前後と若干高価ですが、興味をもたれましたら、
ぜひ手にとってご覧下さい。