ご紹介中の本は、イラストレーターという職業で生計を立てる筆者が、非常に勉強になった本。イラストレーションやアニメーションの勉強では基本ともいえるバイブルです。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」
このホームページでは強く印象に残った部分を簡単にご紹介させていただいております。あらすじ未満??実際に書籍を購入されると、きっと一生モノの教科書として活躍してくれると思います。
カテゴリ「アニメーションの技法2」/19
アニメーション基本原則5-2・フォロー・スルーとオーバー・ラッピング・アクション
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アニメーションの基本原則(アニメーターたちの基本原則9つ)となった手法についてをお伝えしています。今回はアニメーション基本原則5、「フォロー・スルーとオーバー・ラッピング・アクション」その2。
フォロー・スルーとオーバー・ラッピング その2
フォロー・スルーとオーバーラッピング・アクション(後追いの工夫)についての続きです。
あるカットに登場したキャラクターが次のアクションに移ろうとするとき、いきなり完全に動きを止めてしまう。それはぎこちなく不自然に見えてしまう。どうしたらいいのか?
ウォルト・ディズニー、ディズニーアニメーションスタジオのアニメーターたちはその解決策を考えました。その結果、開発されたのが、フォロー・スルーとオーバーラッピング・アクションです。
フォロー・スルーとオーバーラッピング・アクション(後追いの工夫)の両者の区別は厳密ではありませんでした。ウォルト・ディズニーが考えたその方法は、だいたい次の5つのカテゴリーに分類できました。前回はそのカテゴリー1、今度はカテゴリー2です。
「フォロー・スルー」、「オーバーラッピング・アクション」カテゴリー2
- 体そのものも一度に動くわけでもなく、伸びたり、止まったり、なじれたり、曲がったり、縮んだりしながら、各部を拮抗して動く。ある部分が止まっても、他の部分が動いていたりする。体が静止した後も、腕や手がアクションを続けることもある。
- キャラクターの姿態を明確に伝えるために、頭部と胸と肩が同時に止まるという場合もある。それらは観客に見てほしい部分、つまりキャラクターの気持ちを示している部分なのだ。その数のコマあとで、体の残りの部分が最後のポーズに入るが、この時もそれぞれタイミングをずらして止めたりする。
- 全体が完全に静止して一定の姿態になると、それは「止め」のイラストということになる。
アニメーターの中には、そのやり方は凝りすぎだという意見もあったが、これはまだ序の口。ウォルトディズニーはスタッフの仕事を見ながら新しいアイデアを次々に出してきた。
レククラーク氏、1930年代当時のウォルト・ディズニーのアニメーション制作スタジオの代表的なアニメーターをしていたレス・クラーク氏は、このことをあとで笑い話として話しています。
「僕らがこれでいいと思っていることにウォルトがなぜケチをつけるのか、
理解しかねることもあった。
でも、
あとになると、彼が言わんとしていたことがわかってくるんだ」
ディズニーアニメーションの歴史はディズニーイラストの歴史でもあります。
これだけの長い間、愛され続けるディズニーキャラクターは、
イラストレーションを考える上での基本となるポイントが満載です。
徳間書店「生命を吹き込む魔法」というバイブル、
実売で1万円前後と若干高価ですが、興味をもたれましたら、
ぜひ手にとってご覧下さい。