アニメーションの技法
アニメーションの原則11『実質感のある絵』について後編
アニメーションの原則カテゴリー11「実質感のある絵」後編です。
1930年代に入るとディズニーアニメーションスタジオもスタッフが、30人になり、新しい新人を積極的に採用していきます。(採用レベルはご想像にお任せ)
若い見習いアニメーターの目にとまるように、ディズニースタジオの壁にはいろいろな標語が掲げてありましが、スタジオの皆さんが、一番覚えているのが、 『その絵は重さと奥行きがありバランスが取れているか?』というものです。
それは、実質感のある立体的な絵(イラスト)を描くときの基本を教える標語でした。
ウォルト・ディズニーを中心に、つかみどころのないその原則をマスターしようと長年がんばってきたアニメーター達にとっては、その標語は『国債を買おう』という標語(当時、はやった標語)や最寄りの出口を示す標語と同じく、当たり前のことをわざわざ言いたてているように見えたでしょう。
絵(イラスト)の中の「双子」に気をつけろ、と言う標語もありました。
双子とは、腕や脚が左右対称になっていて、しかも左右が完全に同じ動きをしていると言う不幸な状態のことです。
「板のような」キャラクターの目、耳、腕、手、指、脚、服の襟、靴などがすべて左右対称になっていて、非常に硬い感じに見えますね。双子の絵をわざと描くアニメーターは、いないし、たいていそう描いてしまったことさえ気づかない。
これは、1923年にウォルト・ディズニーが、兄ロイとアニメーション制作会社を設立してから、1930年代になっても、常に付きまとってきた問題でした。1970年代にも、若いアニメーター:ロン・クレメンツが、どんなに頑張っても双子の絵をなくせず困っていた事がありました。
双子の絵がなくせずに困ったロン・クレメンツが、自分の絵の問題点について、熟練のフランク・トーマス氏に相談しています。ロン・クレメンツは『それはディズニーで最初に聞いた原則の1つだった。実際に演技するのなら、「双子」で感情を示そうなどとは思わないだろうに、絵を描くときにには、気を抜いていると「双子」がすぐに忍び込んでくるんだ」。フランク・トーマス氏は、こう語っています
『私たちが求めていたのは、「アートできる」形、つまり量感はあるが、柔軟さもあり、強さはあるが生硬さのない形、アニメーターの狙いを表現しうる形だった。静的な形とは正反対の、生きて動ける形が必要だったのだ。私たちなりにそれを「可塑性」(プラスチック)と呼んでいたのだが、語義も「形作ることができる、柔軟な」ということだったのでフィーリングが表れていてピッタリだった。』
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